沼田英治の
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2021年3月に37年間の大学教員生活を終え、定年退職しました。少年のころ、ウルトラセブンを見ていたら、セブンが危機に陥った時にカプセルから現れる怪獣がいました。必要なくなるとカプセルに戻ります。これからわたしは若い人たちの活躍を邪魔することなく、静かに生きていこうと思いますが、ご要望があればたまにはカプセルから出て戦いたいと思います。
このように書いて、ウェブサイトを開設しましたが、このたび縁あって再び大学教員として働くことになりました。しばらくはカプセルの外で戦うことになります。これからは文理融合研究の推進が仕事になります。
ニュース
昆虫休眠の総説
2023年1月24日
年一世代以下の生活史を持つ昆虫の休眠についての総説を発表しました。南九州大学の新谷喜紀さんと共著です。
Numata, H. and Shintani, Y. (2023) Diapause in univoltine and semivoltine life cycles. Annual Review of Entomology 68:257-276.
https://www.annualreviews.org/doi/full/10.1146/annurev-ento-120220-101047
カメムシ孵化の論文
2022年12月30日
カメムシの孵化方向に関する論文を2つ発表しました。わたしが最後に修士研究の指導をした石田薫さんの修士論文の内容です。
石田薫・沼田英治 (2022) カメムシ科の卵塊における孵化方向の種間差異 Rostria 67: 75-80.
石田薫・沼田英治 (2022) ミナミアオカメムシの孵化方向の決定要因 Rostria 67: 81-88.
ホソヘリカメムシの論文
2022年12月25日
ホソヘリカメムシの幼若ホルモンに関係する転写因子Krüppel homolog 1の機能に関する論文を発表しました。
Dong, L., Muramatsu, N., Numata, H. and Ito, C. (2022) Functional analysis of a juvenile hormone inducible transcription factor, Krüppel homolog 1, in the bean bug, Riptortus pedestris. Zoological Science 39:562-569.
千葉喜彦追悼文
2022年11月1日
時間生物学分野の大先輩、千葉喜彦さんへの追悼文を書きました。
沼田英治 (2022) 私のスターナビゲーション―千葉喜彦さんの思い出― 時間生物学 28(2): 75-77. https://chronobiology.jp/journal/JSC2022-2-075.pdf
再就職
2022年10月1日
京都大学・人と社会の未来研究院、特定教授に就任しました。
新刊紹介「最先端コオロギ学」
2022年9月25日
野地澄晴(編)『最先端コオロギ学―世界初! 新しい生物学がここにある―』の新刊紹介を日本昆虫学会の和文誌、昆蟲(ニューシリーズ)に発表しました。https://doi.org/10.20848/kontyu.25.3_144
英国昆虫学会論文賞
2022年7月13日
2020年にPhysiological Entomology誌に発表した論文がRES Journals awards 2022を受賞しました。https://www.royensoc.co.uk/res-journal-awards-2022/
国際昆虫学会議の本
2022年6月26日
国際昆虫学会議の歴史を書いた本を出版しました。第8章を担当しました。
Numata, H. (2022) The first Congress held in Asia: the XVI International Congress of Entomology, Kyoto, 3–9 August 1980. In: An Important and Victorious Science: The International Congress of Entomology. Ridsdill-Smith, J., Weintraub, P.G., Whitten, M.J. and Berenbaum, M.R. (eds.) Thomas Say Publications in Entomology. Entomological Society of America, Annapolis, MD, USA. pp. 129-138.
ド・メランの解説
2022年5月1日
時間生物学の歴史的成果、ド・メランによるオジギソウ葉の上下運動の報告を紹介しました。
沼田英治・桃木暁子 (2022) 初めて自由継続リズムを見た人、ド・メランとその時代. 時間生物学 28(1):17-21. https://chronobiology.jp/journal/JSC2022-1-017.pdf
カイコガの論文
2022年4月25日
カイコガの4種の時計遺伝子のいずれかをノックアウトした系統では、卵期の高い温度に反応して次世代の卵が休眠に入るという応答がなくなったり弱くなったりしました。
Homma, S., Murata, A., Ikegami, M., Kobayashi, M., Yamazaki, M., Ikeda, K., Daimon, T., Numata, H., Mizoguchi, A. and Shiomi, K. (2022) Circadian clock genes regulate temperature-dependent diapause induction in silkworms Bombyx mori. Frontiers in Physiology 13:863380. https://doi.org/10.3389/fphys.2022.863380
略歴
高校
1971年4月 - 1974年3月
大阪府立豊中高等学校
大学
1974年4月 - 1978年3月
京都大学理学部
大学院
1978年4月 - 1984年3月
京都大学大学院理学研究科動物学専攻修士課程、博士課程
大学教員1
1984年4月 - 2009年9月
大阪市立大学理学部助手、講師、助教授、教授
大学教員2
2009年10月 - 2021年3月
京都大学大学院理学研究科教授
大学教員3
2022年10月 -
京都大学人と社会の未来研究院特定教授
学位
1984年7月
理学博士(京都大学)
研究
おもに昆虫を対象に、動物がどのような季節に、あるいはどのような時間に決まった活動を行うのか、そしてそれはどのようなしくみでもたらされるのかを明らかにし、野外でどのような意義があるのか議論することを目的として研究してきました。

光周性
ホソヘリカメムシは、時計遺伝子によって構成される概日時計を使って日長を測り、秋に短日になったら成虫が休眠に入って冬を越します。

著書・訳書
これまでの主な著書
『生きものは昼夜をよむ 光周性のふしぎ』 岩波ジュニア新書 2000年 沼田英治(著)
『時間生物学の基礎』 裳華房 2003年 富岡憲治・沼田英治・井上愼一(著)
『都会にすむセミたち 温暖化の影響?』 海游舎 2007年 沼田英治・初宿成彦(著)
『昆虫の時計―分子から野外まで―』 北隆館 2014年 沼田英治(編著)
『クマゼミから温暖化を考える』 岩波ジュニア新書 2016年 沼田英治(著)
これまでの主な訳書
『マゴットセラピー ウジを使った創傷治療』 大阪公立大学共同出版会 2006年 W. Fleischmann, M. Grassberger(著)沼田英治・三井秀也(訳)
『動物生理学―環境への適応』 東京大学出版会 2007年 K. Schmidt-Nielsen(著) 沼田英治・中嶋康裕(監訳)
『サイエンス超簡潔講座 動物行動学』 ニュートンプレス 2021年 T.D. Wyatt(著) 青山薫(訳) 沼田英治(監訳)

写真
カメラ少年だった高校生の時以来、写真は趣味です。近年はデジタル一眼レフカメラで、おもに虫や鳥の写真を撮っています。